レストランで私たちが先に行って畳の部屋で待ってたら、来てくれたんです。すごくきれいにおしゃれしてね。・・・にこりともしないし、少しこわばった顔をして、目を伏せて、こちらの顔を見なかったのですね。それでずっと顔を見ないでやり取りしてたんだけど。とにかく、手続の説明や何やかやとやって、お金をお渡しする前に、総理のおわびの手紙を先に読んだんです。総理の手紙を読み始めると、そのころからもう泣き出してたんだけど、理事長の手紙になると、理事長のお手紙の方が長くて、もう少し感情というか気持ちの部分が入っていた。すると、その韓国の元慰安婦の女性は、もう感情を押え切れなくなって、本当に、「ぎゃーっ」と叫ぶような、からだの奥底からしぼり出すような声で泣き続けたんです。号泣と言うんでしょうか。
で、途中で私も手紙を読み続けられなくなっちゃって、こちらもすごい衝撃で、畳の部屋で和食のテーブルに向かい合ってすわっていたんですけど、途中で私は向こう側に行って、彼女を抱いて、「ごめんなさいね、ごめんなさいね。」って、一緒に泣いてしまいました。私もなぜそう言ったのかわかんないんですけど、彼女を抱きしめて、ただ、ひたすら「ごめんなさい」と泣いて言い続けました。そしたら、彼女がわんわん泣きながら、「あなたには何の罪もないのよ。」って。「遠いところをわざわざ来てくれて、ありがとう。」というような趣旨のことを言って、でもずっと興奮して泣いていて、しばらくお互い抱き合いながらお互いそういう状態でいて・・・
私は、「でも私はあなたは私に罪がないって言って下さったけど、でも私は日本人としてやはり罪があるんですよ。」と言いました。「日本の国民の一人として、あなたにおわびしなきゃいけないんです。」というような、そういうやりとりがあって。それで少し落ちついてきたんで、また元の席に戻って、残りの文章を読み終わって。そしたら、彼女の顔付きがトゲトゲしいこわい顔が、やさしい顔になっていたんです。つきものが落ちたように、変わっていた。・・・ そして、私の顔をもちゃんと見て、それからポツポツと自分の身の上を話し出したんですよ。
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